六車コラムvol.2 〜偽サイドバック〜

偽サイドバック

9月5日に行われた日本vsパラグアイの試合の後半、富安が右SB(右サイドバック)に入った。
右WG(右ウィング)に入った縦関係の久保建英と好連係を築きつつ、タイミング良くオーバーラップ。
終盤には板倉滉のスルーパスに抜け出し、好クロスも上げた。守備ではCB(センターバック)でも見せている1対1や空中戦の強さを発揮し、攻守ともに上々のパフォーマンスを見せたと思う。
ただ、右SBとしての冨安が興味深かったのは、プラスアルファの仕事だ。
右SBの持ち場を守りつつ、中盤も気にかけている様子が見てとれた。
85分のカウンターを食らいそうになった場面で中央に絞り、インターセプトしてピンチの芽を摘んでいたシーンが印象的だ。
攻撃時にSBがDH(ディフェンシブハーフ)のようにプレーする偽サイドバックの存在をご存じだろうか。
富安のポジショニングに対して、解説の都並さん(城だったかも)が口にした「偽サイドバック」という言葉。
ヨーロッパでは3年程前から使われていた言葉だったが、私が日本の試合で聞いたのはこれが初めてになる。
(プレミアリーグばかり見ていて、日本の試合を滅多に見ないからかもしれないが。)
では、偽サイドバックとはどういった動きを言うのでしょうか。
一言で言うと、SBが、DHが上がってできたスペースに入り、DHの役割をする事を言います。
下に動画にしたものがあります。
センターフォワード(CF)「⑨」にくさびが入った時やWG「⑩⑪」にボールが入った時(動画では⑩に入る)に、IH(インサイドハーフ)「⑦⑧」とDH「⑥」の選手がサポートまたは裏のスペースへ抜ける動きをする。
その時に空いてしまうDH「⑥」が元いたポジション(スペース)にSBがずれて入り、チャンスメイクする役割を担うポジションをとる事です。
SB「②⑤」を赤色にしているので注目してほしいと思います。

偽サイドバックを戦術にすることのメリット

<オフェンスのメリット>
・DHが一つ前のポジションをとれる→普段よりも多い人数で中盤を制することができ、そこから展開できる
・SBがDHの位置に入ることで、DHが後ろのスペースを気にしないで上がることができる
・攻めあぐねた時に、DHの位置にSBがいることで、そこへ下げてもう一度組み立てることができる
・DHの選手が、攻撃の時にフリーマンのように自由にサポート、抜けだす動きができる(FWにもなれるしサイドにもなれる)
・SBがオーバーラップする時に、偽サイドバックの動きで移動したDHの位置からスタートすることができるので、短い時間でできる
・DHにはディフェンス力が求められるが、SBがDHの位置に入ることで、ディフェンス力が少し劣っても、推進力のある選手をDHに置くことができる
SBが、上がったDHの位置に入ることで、DHが後ろを気にしないで攻撃に専念できる。そして奪われた時も、DHの位置で数的優位が作れ、ボールを奪い、カウンターを止めることができる。
DHが上がることで攻撃の人数が増え、数的優位を作ることができる。といったメリットがある。
<ディフェンスのメリット>
・ボールを奪われた時に、DHが上がってできたスペースを偽サイドバックがカバーできる(守備のリスクをなくす)
・カウンターの時に一番使われたくない場所(相手の攻撃の起点となるDHの位置)で第一DFができる→奪った時にそこから攻撃を始められる
<偽サイドバックを使うためには>
偽サイドバックを使おうとすると、SBに求められる事が多くなるので、戦術を理解し実行できるSBが必要になる。
また、SB以外にも、DFの裏のスペースをカバーできるGKが必要になる。
これは、SBがDHの位置に入ると、ディフェンスの人数が1人(または2人)少なくなり、裏へのボールの処理を、GKを含めたDFで対応することが必要になるからだ。
さらに、1対1で突出しているWGが両サイドにいることも必要になる。
WGが簡単に1対1で奪われてしまうとリスクが高いため、1対1に突出したWGが必要になるからだ。
偽サイドバックがDHが上がってできたスペースに移動中、周りの選手も準備できていない時にWGが簡単にボールを奪われると、サイドに空いた膨大なスペースを使われてしまうため、
WGは1対1をするタイミングを見て勝負をする必要がある。WGは奪われた時のリスクを理解してプレーしなければならない。
では、DHのスペースを埋めるのはSBではなく、CB(センターバック)ではダメなのだろうか。
一つは、CBが上がると相手FWのマークを外す時間が一瞬でもできてしまうこと。
さらに、DHの役割を担うのに、CBよりもSBの方が足元が上手く、適任者が多いことから、SBが良いとされている。
ただ、DHの能力のあるCBが上がるというやり方をしているチームもヨーロッパにあることも事実だ。
上手いCBがいるのであればCBがDHの位置まで上がり、SBが内側にしぼる(CBのポジションをとる)ことも可能である。

まとめ

偽サイドバックの戦術によって生まれるメリットは大きい。
しかし、そのためには豊富なタレントと戦術理解、チームとしての成熟が欠かせない。
しかし、偽サイドバックが戦術の全てではない。監督の数だけ戦術がある。だからサッカーは面白いと思う。

EVO Football Club

EVO Football Club(エヴォ エフシー)は静岡のジュニアユースチーム。 everyoneの「みんなと」、evolutionの「進化」を意味します。みんなで進化したサッカーを表現しよう! EVO FCは2020年4月から本格的にジュニアユースチームを発足します。選手に合わせたベストな戦術を用いて指導していきます。 2019年度はスクールを2回/週、個人レッスンを2回/週で開催します。

0コメント

  • 1000 / 1000