ポゼッションサッカーの理論①では、5レーン理論、三種の優位について話をした。
「ポゼショナルプレー、いわゆるパスサッカーと呼ばれているものは、5レーン理論にもとづき、常に三角形を作りながら三種の優位満たす位置にポジションをとる。そうすることで優位に試合を運んでいくという考え方である。」という話をした。
今回は、ポゼッションサッカーの理論より細かく話していきたい。
ポゼッションサッカー
ポゼッションサッカーとはポストプレーの繰り返し
では、なぜ三角形を作るといいのか。
一つはパスコースが2つあること。もう一つは、有効なポストプレーを繰り返しできることだ。
四角形、台形といった形もあるが、三角形が一番少人数かつスピーディーに、連続的に
ポストプレーを行うことがができる。
ポストプレーというと、前の選手にあてて、後ろの選手におとすというイメージが強いが、ここでいうポストプレーは、三角形のうち、どの選手も頂点になりえる。
「誰かにあてておとす」の繰り返しがポストプレーだ。
この連続したポストプレーがポゼショナルプレーと呼ばれていて、ボールを持っていない
時間が多いので、周りが見やすく、次の場所へ移動しやすくなることにつながり、その結果、チャンスがどこにあるか、チームの目的にそったプレーの選択が可能となる。
ポゼッションサッカーは攻撃だけの言葉?
ポゼショナルプレーと聞くと、攻撃というイメージが強いと思う。パスをつないで前進してゴールにパスをする。大げさに言うとそういう解釈がされやすい。
しかしこれは大きな間違いである。ポゼショナルプレーとは、攻撃だけではなく、守備の事も考えてパスをつないで行く。ということだ。
パスをつないで前に行くだけだと、後ろのスペースが空いてしまい、ボールを奪われた時にカウンターを受けることが多くなる。
現マンチェスター・Cのグアルディオラ監督が昔言っていた言葉で、「10m以上でパスを
回さないから、ボールを奪われた時に10m以上走らなくていい。これがポゼッションサッカーだ。」というものがある。正しいポジションをとることが大切だと言っている。
よって、ポゼッションサッカーとは、パスをつなぐことよりも、一人一人が正しいポジションをとっていれば、パスはつながるし、ボールを奪われても10m以上走らなくてもいいから守備もしやすい。そういう考え方のことである。
パスで前へ攻めて行き、ボールを奪われたら全員で急いで下がって来る。これはパスサッカーではなく、奪われた時にむやみにボールに向かって走っていくのもパスサッカーではない。
守備の時もポゼッションサッカーは存在する。守備の時も三角形を作りながら奪いに行っているのだ。なぜならボールを奪った後は攻撃が待っているから。これがポゼッションサッカーだ。
偽サイドバックって5レーン理論から外れた動きなのでは?
ポゼッションサッカーは守備でも存在し、5レーン理論にもとづいた正しいポジションをとり奪いに行く。そうすることによって、ボールを奪った後も攻撃につなげることができる。
そんな話をした。では、偽サイドバックの動きは5レーン理論とは違う動きなのではないか
と疑問に思った方もいるだろう。(偽サイドバックについて詳しくは前回のコラムで)
ポゼッションサッカーの理論だと、上がったDH(ディフェンシブハーフ)の位置に入るのは縦のラインのCB(センターバック)のはずなのだ。
ではなぜCBではなくSB(サイドバック)なのだろうか。
ここで考えたいのがリスクマネジメントについてだ。
CBが前に上がり、DHのポジションに入った時のリスクについて考えたい。
相手FWが一人なので(2人いたら上がる発想にはならない)、CBが上がることで守備が1対1になってしまう(相手FWと味方のCB)。ポゼッションサッカーは攻守ともに考えられていなければいけないので、1対1だとリスクが大きい。CBは2人おいておきたいので、CBが前に入るのではなく、横のレーンへの移動にはなるが、SBがDHの位置に入るということが成立する。
赤⑨と青③が1対1になってしまう
②が④の前のスペースへ
これが偽サイドバックという戦術になる。三角形、攻守、リスクを崩さずに行うのが戦術である。
ただ、偽サイドバックの時に話したように、CBが前に上がり、SBがCBに入るという方法を
選択するチームもある。
まとめ
5レーン理論はあくまで理論である。理論に縛られていては理論で対応されてしまうことになる。
あとはチームの監督が、自分の戦術を使うために、攻守におけるメリット、リスクを考え、どう理論を崩していくかが面白いところだと思う。そうやって新しい戦術が生まれて行く。
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